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ESP32をはじめよう!(開発環境を準備)

ESP32マイコン

格安マイコンの1つであるESP32を使います。Espressif Systems 社推奨のESP32 ( ESP-WROOM-32 ) の開発環境「ESP-IDF」の使い方を説明します。

PCでESP32を開発するには?

手持ちのPC(windowsまたはLinux)に、「ESP-IDF」をインストールして開発環境をつくります。

Arduino IDEでも開発は可能ですが・・・

Arduino IDE でも ESP32は開発できます。しかし、全ての機能を使うことがまだできません。公式の「ESP-IDF」を使うともっといろいろな機能が使えます。

MSYS2ツールチェーンを使う

MSYS2とは、Windows でgccコンパイラなどのUNIXコマンドが使えるソフトです。ESP32用のC言語ソースをgccコンパイラでコンパイルするために、このMSYS2を使います。

ESP-IDFの注意点

IDFは日々アップデートされており、数か月後には使い方が変わっている可能性があります。ESPRESSIF社のGitHubの以下のページに英語版使用方法がありますので、最新情報はこちらを確認してください。

Espressif IoT Development Framework

準備

当サイトでは、windows7(32bit)を使っています。もちろんwindows10やLinuxOSでも開発可能です。

プログラム開発環境

OS windows7(32bit)

開発ボード

用途 品名 価格
開発ボード ESP32-DevKitC ( ESP-WROOM-32 ) 1,980円
ケーブル microUSB 充電ケーブル 1m 480円

※価格は多少変動する場合があります。


あれば便利

用途 品名 価格
試作回路 ブレッドボード 507円

MSYS2ツールチェーンをインストール

ESP32用に構成されたMSYS2 をインストールします。

①Espressif社の「ESP-IDF Programming Guide」の以下のページを開いて下さい。

Standard Setup of Toolchain for Windows

②ページ中の「Toolchain Setup」に、ZIPファイルリンクがあります。ここをクリックしてダウンロードしてください。

2019/01/15現在、20181001というバージョンですが、最新版に更新されていたらそれを使って下さい。また、ファイルサイズが1GBを超えますのでダウンロードに時間がかかりますので注意してください。

③ダウンロードしたzipを解凍します。解凍したら、下図のように解凍後フォルダの中の「msys32」フォルダをDドライブ直下(またはCドライブ直下)にコピーします。

コマンドラインでフォルダのパスを指定を頻繁に使います。Cドライブ直下か、またはその他のドライブ直下の方が長いパス名を入力しなくて済む為このようにしました。もうひとつストレージがある場合は、システムドライブとは別のDドライブ直下に置きました。

※コピーするだけでも多量のファイルがある為、5分以上の長い時間がかかりますので注意してください。

④コピーが完了したら、コピー先のmsys32フォルダを開きます。「mingw32.exe」をクリックして起動します。

64bitパソコンをお使いの方も「mingw32.exe」を使用してください。現時点では、mingw64.exeがうまく動作せず不安定です。

⑤下図の様な MSYS2 ウィンドウが開きます。今後、ここにコマンドを入力します。

⑥msys32フォルダの中にhomeフォルダがありますが、その中にご自分のユーザー名フォルダが作成されます。このフォルダの中に ESP-IDF ファイルやプロジェクトを作成していきます。

  • D:\msys32/home/
  • user/

このフォルダ以外で作成するとうまく動作しませんのでご注意ください。

ESP-IDF をダウンロードする

ESP-IDF はGitHubで公開されていています。C言語ソースファイルやライブラリ、環境設定ファイル、Makeコマンド設定ファイルなどが一式そろっています。「git clone」するか、以下のサイトからダウンロードします。

get-started-get-esp-idf

①「msys32/home/自分のユーザー」フォルダの中に、「esp」というフォルダを作成します。

  • D:\msys32/home/
  • user/
  • esp/

②msys32.exeを起動して、以下のようなコマンドを入力してカレントディレクトリを移動します。

cd /d/msys32/home/User-Name/esp

User-Name のところはご自分のユーザー名フォルダに書き換えてください。

③以下のコマンドを入力して、esp-idfを取得します。

git clone -b v3.1 --recursive https://github.com/espressif/esp-idf.git

「git clone」コマンドを使うと、GitHub にある最新のプログラムをダウンロードできます。

–recursive

上記のオプションコマンドを入れないとサブモジュールが最新版になりませんので気を付けてください。

git cloneには少々時間がかかります。完了すると、以下の様な感じでGitHub上の「ESP-IDF」と同じものができます。

GitHubからZIPファイルをダウンロードして解凍しても同じことができます。

MSYS2の環境設定でESP-IDFのパスを通す

①再度mingw32.exeを起動します。

②以下のコマンドを入力してカレントディレクトリを「esp」直下まで移動します。移動したら、esp-idfをcloneしたパスを確認します。

cd ~/esp
cygpath -ma esp-idf

cygpath

パス表記をWindows/UNIX形式に変換します。

以下のようなパスが表示されます。

D:/msys32/home/user/esp/esp-idf

③IDFのパスを通すため、設定ファイル「export_idf_path.sh」を作成します。

vim /etc/profile.d/export_idf_path.sh

以下の内容を記述します。

export IDF_PATH="D:/msys32/home/User-Name/esp/esp-idf"

※User-Nameはお使いのPCのユーザ名に変えてください。

以下のコマンドを入力してvimを終了します。

:wq

以下のパスに「export_idf_path.sh」が作成されます。

d:\msys32\etc\profile.d
  • D:\msys32/etc/
  • profile.d/
  • export_idf_path.sh

「export_idf_path.sh」は、メモ帳などを使って作成することも可能です。しかし、文字コードや余計な改行コードが入ってしまうため、vimコマンドで作成することをお勧めします。いくら記述してもパスが通らなくて苦労しました。

④このファイルはmingw32.exeの起動時に読み込まれる為、一度bashを終了して再度起動します。正しくファイル作成が出来ていれば以下のコマンドを入力した時にパスが表示されます。

printenv IDF_PATH

D:/myss32/home/user/esp/esp-idf

パスが表示されない場合は設定出来ていませんので、export_idf_path.shの保管場所やコマンドの文字が間違っていないか等を確認しましょう。

PCと接続してUSBドライバの設定とシリアルポート確認

①USBケーブルをESP32のボード接続します。すると、PCに自動でドライバがインストールされます。

②コントロールパネル→デバイスマネージャー→ポート(COMとLPT)に、esp32のデバイス名が表示されます。例)「Silicon Labs CP201x USB To UART Bridge(COM3)」

ここで表示されるCOMポート番号はプロジェクトをビルドした後の書き込みで使用するので控えておいてください。

自動でインストールされない場合

自動的にドライバがインストールされない場合はUSB – シリアル通信の変換チップを特定してインターネットでドライバを検索してインストールします。

私の場合、ESP32-DevKitCを使用しているので「CP210x USB to UART Bridge VCP Drivers」のドライバをインストールする必要があります。

①コントロールパネル→デバイスマネージャー→ポート(COMとLPT)に、esp32のデバイス名が表示されます。例)「Silicon Labs CP201x USB To UART Bridge(COM3)」

②「cp2102n driver」でググッたら、以下のサイトを見つけました。

CP210x USB – UART ブリッジ VCP ドライバ

③「Windows 7/8/8.1(v6.7.6)」(開発用PC環境用のドライバ)の、「VCP をダウンロード (5.3 MB) (デフォルト)」をクリックしてドライバをダウンロードします。

④ダウンロードしたファイルを解凍して、フォルダ内の「CP210xVCPInstaller_x86.exe」をクリックしてインストールします。(64bitをお使いの方は、x64)

サンプルプロジェクトの実行

サンプルプロジェクトをコピーしてビルド・書き込みします。

①espディレクトリ直下にサンプルプログラム「hello_world」をコピーします。

cd ~/esp
cp -r $IDF_PATH/examples/get-started/hello_world .

以下のようになるか確認してください。

  • D:\msys32\home\user-name\esp
  • esp-idf/
  • hello_world

※ESP-IDFではパスのスペース(空白)は対応していません。単語を区切りたい場合は_(アンダーバー)で区切り、日本語文字などの2バイト文字も避けましょう。

その前に…portの設定

②ビルド時や書き込みの設定をGUIのメニューから行います。下のコマンドを実行してhello_worldプロジェクトに移動し、GUIを表示させます。

cd ~/esp/hello_world
make menuconfig

以下のように表示されます。

③シリアル通信のポートがデフォルトではLinux用になっているのでWindows用に修正します。キーボードの矢印キー↑↓で「Serial flasher config」を選択し、<Select>が青い状態でEnterを押します。

④一番上の「Default serial port」を選択してEnterを押し、ポートのパス設定を「/dev/COMxx」に修正してを選択してEnterを押します。

※COMxxはデバイスマネージャーで調べたCOM番号です。

⑤設定変更したら<Save>を選択して設定を保存します。

⑥保存したらでEnterを押してメニューを閉じます。

プロジェクトをビルドして書き込み

以下のコマンドでビルド・成功後は書き込みを行います。

make flash

これにより全てのESP-IDFコンポーネントがコンパイルされます。また、以下のバイナリが生成されESP32ボードに書き込まれます。

  • ブートローダ
  • パーティションテーブル
  • アプリケーション

⑦書き込みが成功すると以下のような画面になります。

書き込んで動作しているespボードからPCのCOMポートへデバッグ用のデータが出力されています。

Tera Termなどのターミナルソフトで接続してもよいですが、以下のコマンドでbashウィンドウに出力する事ができます。

make monitor

hello_worldは、起動後「Hello world!」とデバッグ出力で表示し、10秒後に再起動を繰り返すというサンプルプログラムです。

Ctrl+Cでキャンセルできます。

これでビルド・書き込み環境が構築できました。


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プロフィール

名前:イワサキ ユウタ 職業:システムエンジニア、ウェブマスター、フロントエンドエンジニア 誕生:1986年生まれ 出身:静岡県 特技:ウッドベース 略歴 20

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